2021年8月25日水曜日

PM2.5微小粒子状物質測定器 AtmotubePRO を分解修理

 先日、PM2.5 微小粒子状物質測定に使用している米国製でレーザー散乱方式の測定器AtmotubePROをうっかり植木鉢の上へ落としたら動かなくなってしまいました。

 この測定器は米国から直輸入で購入した物ですが、今は在庫切れでもう入手出来ません。そこで、内部構造を知るのも兼ねて分解修理する事にしました。

 (注)内部にはレーザー光線の光源が有ります。私はバッテリーが空になるのを待って行いましたが、スマホからのコマンドで電源を切る方法も有るので、危険の無い様に。また、分解したら保証が受けられなくなるのでご注意下さい。

 

 AtmotubePRO

 最初に外装の小さな+ネジ4本を時計ドライバーで外します。

 次に爪の位置を探りながら-時計ドライバーの小さい物から差し込み、隙間が出来たら大きな時計ドライバーで広げ、この操作を繰り返して爪を外します。











上下のケースが分離したら、今度は緑のプラスチックカバーのセンサー部を分解しますが、分解防止のトルクスネジという特殊ななネジが使われており、普通のドライバーでは回りません。

 そこで、ネジの大きさを測ってドライバー(T型トルクスレンチ)を購入します。


 ネジの寸法を測るとネジの穴の対角線が1.65mmのT6という呼び径の様ですが、もし寸法が外れても良い様に、前後の呼び径を含んだセットを購入しました。

 このネジはぴったりのレンチで外さないとネジの溝が潰れてしまい、取れなくなってしまいます。(外す奥の手は有るが、ネジは使えなくなる)


 T6のトルクスレンチで無事カバーが外れました。

 センサー部が上下に合体している構造で、内部を見るにはまたトルクスネジ(同じサイズ)を4本外します。






センサー部を分解しているところ










 無事上下が分離しました。

 詳細に目視チェックすると、写真にうまく撮れませんが、排気ファンの羽が傾いて回りません。ピンセットを突っ込んで位置を修正したら軽く回る様になりました。

 ここで気になるのは、白い粒の大きな塊のような物が空気の通路2ヵ所に見られます。




 一つ目は上の写真の左側で、拡大してみると白い綿あめの様な物が溜まっています。







 もう1ヶ所右側の排気ファンの左側の部分に灰色の粒々の塊のような物が見えます。


 他にも空気の通路の至る所に粒々がくっついています。



 細かくて取りにくいですが、キムワイプで大きな物は取り除き、レンズ拭きのアルコールシートで仕上げ拭きしました。フォトダイオード表面も汚れていたので傷を付けないように慎重に作業しました。

 これは作業中の全景ですが、作業が終わり、逆に組み立てていきます。

 センサー部を合体させケースに収めてカバーを閉じようとすると何かが当たって閉まりません。

 もう一度センサー部を取り外して何が当たっているか見ると、底に小さなスプリングが落ちていました。

 センサーユニットの箱状のシールド板を基板のアースと接触させる為のスプリングの様です。ちょうどぴったり収まる穴が有ったので、その穴に入れて組み直したら無事組み上がりました。

 電源を供給してバッテリーを充電すると、センサーが熱を持っています。というメッセージが出ましたが、暫くすると正常になりました。もう1台の物と同じ場所で比較すると、PMの値はほぼ一致しています。しかし、VOCは低めの値が表示されます。VOCの高い所で校正されてしまったせいかもしれないので、一度バッテリーを放電させ、清浄な空気の所でもう一度動作を開始させてみます。

 直すのに一生懸命で後から思ったのは、空気の通路に溜まっていた異物を保存しておいて顕微鏡で見たら良かったかと思いましたが、後の祭りゴミ箱に捨ててしまいました。ひょっとしたら、マイクロカプセルが溜まり溜まった物かも知れません。粘着性なので、うまく排出されずに空気がよどんだ所に溜まってきたのかもしれないからです。

 これがもしマイクロカプセルなら、私たちの気道の中も同じように汚染されていると思われるからです。次回もし分解する機会が有れば、ぜひ顕微鏡で観察してみたいと思います。