測定場所:茨城県の某ホテル
ホテルの方の協力を頂き、ホテル内の共用エリアでイソシアネートとTVOCを測定してみました。イソシアネートはごく微量でもアレルギーを起こし、職業病で恐れられている物質です。米国ACGIHの許容濃度は昨年改定され、1ppbと非常に厳しい値が設定されています。TVOCは総揮発性有機化合物のことで、空気汚染の目安にはなりますが、毒性の強い微量の物は他の物質に隠れてしまい、個々の物質を分析しないと出てきません。
・イソシアネート:米国Honeywell社製 SPM Flex(有毒ガス検知器)
有毒ガスを扱う半導体工場等で、有毒ガスのリークをモニターするのに世界中で使用されている最新型の産業用機器です。
ガスの種類(グループ毎)により、化学テープが入ったカセットを交換する方式で、ここではイソシアネート基(-NCO)を検出するカセットを使用します。
・TVOC:米国NotAnotherOne社製 Atmotube (Air Pollution Monitor)
個人用の空気質モニターで、市販のスマホとブルートゥースで通信しながら使う機器です。公式な測定には使用出来ませんが、空気の汚染状況を手軽に測ることが出来ます。
TVOCと空気質のスコアー、温度、湿度が表示され、データとして取り出す事も出来ます。
現在はソフトウェアーにまだ問題が残っている所が有るので、使用にあたっては注意が必要です。
<測定場所とイソシアネート測定結果max値>
①ホテル内の集会室(無人状態で臭い無し)テーブル上・・・1.4ppb(アラーム1)
②フロント近く(柔軟剤臭を感じる) ソファー上・・・・・1.5ppb(アラーム1)
③ホテル内の洗濯場(強い柔軟剤臭を感じる) すのこ上・・1.5ppb(アラーム1)
(洗濯場は、長期滞在者が自分で洗濯をする場所です)
この結果からイソシアネートの濃度と臭いは比例しない事が分かります。もっとも、イソシアネートは、臭いを感じる濃度では生命の危険があると言われています。
イソシアネートの概要については、国際化学物質安全性カードを参照→リンク
詳細は下の測定グラフを参照して下さい。
昼頃の無人の集会室では臭いは感じず症状も無かったのですが、イソシアネートが検出されアラームが鳴りました。
フロント近くのソファーに移動するとこちらは柔軟剤臭を感じイソシアネートが同様に検出されました。荷物を置きに外へ一旦出て戻ると喉が痒く軽い頭痛がしてきました。更に時間が経つと目にしみる感じがしてきました。
洗濯場では臭いが強く危険なので時々機器の様子を見に入る程度で外から様子を見ていました。臭いは強烈ですが、フロント近くと同じイソシアネートのレベルでした。
赤い丸がイソシアネート基に反応した跡 |
化学テープがイソシアネート基に反応して、空気を通した部分が赤く変色しています。
上のグラフのイソシアネート値は、この変色度合いを光学的に読み取って、トルエンジイソシアネート換算でデジタル値に変換したものです。
それにしても、我が家の外気は先日の測定で1.9ppb Maxとここより高いのは驚きです。そのせいか、咳が出たり頭痛がしたり、体が異常にだるく午前中から昼寝をしたりと、だらだらした生活になっています。