2017年9月27日水曜日

ホテルでイソシアネートとTVOC測定

測定日時:2017.09.19(火) 11:09~13:52
測定場所:茨城県の某ホテル

 ホテルの方の協力を頂き、ホテル内の共用エリアでイソシアネートとTVOCを測定してみました。イソシアネートはごく微量でもアレルギーを起こし、職業病で恐れられている物質です。米国ACGIHの許容濃度は昨年改定され、1ppbと非常に厳しい値が設定されています。TVOCは総揮発性有機化合物のことで、空気汚染の目安にはなりますが、毒性の強い微量の物は他の物質に隠れてしまい、個々の物質を分析しないと出てきません。

<使用測定器>
・イソシアネート:米国Honeywell社製 SPM Flex(有毒ガス検知器)

有毒ガスを扱う半導体工場等で、有毒ガスのリークをモニターするのに世界中で使用されている最新型の産業用機器です。

 ガスの種類(グループ毎)により、化学テープが入ったカセットを交換する方式で、ここではイソシアネート基(-NCO)を検出するカセットを使用します。

・TVOC:米国NotAnotherOne社製 Atmotube (Air Pollution Monitor)

 個人用の空気質モニターで、市販のスマホとブルートゥースで通信しながら使う機器です。公式な測定には使用出来ませんが、空気の汚染状況を手軽に測ることが出来ます。
 TVOCと空気質のスコアー、温度、湿度が表示され、データとして取り出す事も出来ます。
 現在はソフトウェアーにまだ問題が残っている所が有るので、使用にあたっては注意が必要です。








<測定場所とイソシアネート測定結果max値>
①ホテル内の集会室(無人状態で臭い無し)テーブル上・・・1.4ppb(アラーム1)
②フロント近く(柔軟剤臭を感じる) ソファー上・・・・・1.5ppb(アラーム1)
③ホテル内の洗濯場(強い柔軟剤臭を感じる) すのこ上・・1.5ppb(アラーム1)
(洗濯場は、長期滞在者が自分で洗濯をする場所です)

 この結果からイソシアネートの濃度と臭いは比例しない事が分かります。もっとも、イソシアネートは、臭いを感じる濃度では生命の危険があると言われています。
 イソシアネートの概要については、国際化学物質安全性カードを参照→リンク

 詳細は下の測定グラフを参照して下さい。

 昼頃の無人の集会室では臭いは感じず症状も無かったのですが、イソシアネートが検出されアラームが鳴りました。
 フロント近くのソファーに移動するとこちらは柔軟剤臭を感じイソシアネートが同様に検出されました。荷物を置きに外へ一旦出て戻ると喉が痒く軽い頭痛がしてきました。更に時間が経つと目にしみる感じがしてきました。
 洗濯場では臭いが強く危険なので時々機器の様子を見に入る程度で外から様子を見ていました。臭いは強烈ですが、フロント近くと同じイソシアネートのレベルでした。





















赤い丸がイソシアネート基に反応した跡

 化学テープがイソシアネート基に反応して、空気を通した部分が赤く変色しています。

 上のグラフのイソシアネート値は、この変色度合いを光学的に読み取って、トルエンジイソシアネート換算でデジタル値に変換したものです。







 それにしても、我が家の外気は先日の測定で1.9ppb Maxとここより高いのは驚きです。そのせいか、咳が出たり頭痛がしたり、体が異常にだるく午前中から昼寝をしたりと、だらだらした生活になっています。


2017年9月15日金曜日

臭い宅急便

 今朝黒い猫さんが宅急便を届けてくれましたが、その臭い事。

 荷物は玄関に置いたままで中には入れられません。配達の猫さんの石けん系の柔軟剤臭が玄関に充満して階段の上まで登り、2階まで臭います、下は洗面所まで達して、そこを歩いた妻が来ると台所まで臭います。

 配達は荷物だけにして、臭いのサービスは要りません。

2017年9月11日月曜日

窓を少し開くと有毒ガス検知器のアラームがけたたましく鳴り響く(1階)

 今朝はゴミ出しが遅くなり規定時刻の8時を過ぎてしまった。収集車の音が聞こえたので走って集積所まで向かい間に合いました。こんなに遅いゴミ出しは初めてですが、この時間は各家の洗濯物が外に干されていて、それらの柔軟剤臭が混じり合いすさまじい臭いです。各家の洗濯物から放出される化学物質の合計は相当量になる事が予想されます。

 娘が二人目の里帰り出産で帰省しています。無事出産し今はまだ病院に居ますが、1人目の孫は預かっていて自宅にいます。我が家は近所の柔軟剤臭がひどく自宅の大気汚染が心配で、娘が帰省してからは窓をほとんど閉めっぱなしにしています。それでも孫は朝起きるとゴホンゴホンと咳をして、目やにを出しています。

 一昨日ちょうど点検修理に出していた有毒ガス検知器が返ってきたので、昨日動作確認を兼ねて短い時間ですがTVOC(総揮発性有機化合物)と共にイソシアネートを測定してみました。

 案の定、下のグラフの様に、窓を開けた途端にアラーム(米国の職場の許容濃度1bbpにセット)がけたたましく鳴り、許容濃度の倍近いイソシアネートが入ってきます。また、TVOCは窓を閉め切っていても小児科の待合室で測定した値より低い値となっています。窓を開くと(17cm位の隙間)TVOCは下がりますが、イソシアネートは急激に跳ね上がり、米国の工場規制値1ppbの倍近く1.9ppbにもなります。

 時間が経つと徐々に下がり、途中で測定器を室内の畳縦1枚分奥に移動しましたが、網戸越しの半分近くは入り込んで来ています。今日は測定器の充電器が無くバッテリーが切れるとデータが取り出せなくなるので、残念ですがここで終了とします。

 このイソシアネートの値は、工場でいえば許容濃度を越えた異常な状態で、こんな値が住宅街で出る事は驚きです。この物質は職業病を起こす事で恐れられており、その症状は厚生労働省の職場の安全サイトによると、

ヒトについては、眼、気道、皮膚に対する刺激性、激しい乾性の咳、喀痰、胸部絞扼感、呼吸困難、悪心、嘔吐、重篤な気管支痙攣を伴った気管支炎、肺水腫、肺炎など が報告されている。 21)
    ヒトについては、さらに「長期に亘って頭痛、健忘、集中力欠如、錯乱、人格の変化、易刺激性、鬱のような中枢神経系に対する影響」が見られ 21)、また「高揚感、運動失調、断続的な四肢の痙攣、めまい、意識消失、頭痛、集中力欠如、記憶障害、混乱、被刺激性、抑うつ」等の記述がある。

とあり、麻酔作用により精神的な影響までに及び、さらに動物実験では発がん性が確かめられています。

<測定結果グラフ>


















<使用測定器>
①有毒ガス検知器・・・工場の有毒ガスモニターとして主に使用されている物です
SPM Flex 米国Honeywell社製(日本の代理店は(株)リッチモアインターナショナル) 日本語パンフレットは以下のリンク参照
http://www.richmore.co.jp/item/semiconductor/honeywell/pdf/spm_flex.pdf

ケミカセット(化学テープを内蔵)はイソシアネート用を使用し、ほとんどのイソシアネート基の合計量を検出できる。ここでは、トルエンジイソシアネートTDIとして測定しています。

②簡易TVOC計・・・簡易型の空気質モニター。正式な測定には使用できません。
 Atmotube 詳細は以下のリンクを参照して下さい。(英文)
https://atmotube.com/
国内の通販でも扱っている所が有ります。現在一部ソフトウェアの不具合が有り、改善依頼中です。

<測定風景>
網戸越しに測定
テフロンチューブ先端の銀色の筒が
TVOC計のAtmotubeです
テープは確かにイソシアネート基
に反応して赤い丸が発色している




















1.4ppbを記録し、
アラーム1となって警報音が
鳴り響いている様子