2019年6月24日月曜日

電車に乗ると咳や頭痛になったりする原因の一つ

 混雑した電車に乗ると咳込んだり、頭痛がしたり、ひどいだるさや気持ちが悪くなったりした事が有りませんか?

 私は5月22日に衆議院会館でプレゼンを行う為に電車に乗り、漏れを少なく改造した活性炭のマスクをして出かけました。行きやプレゼン中は何ともなかったのですが、帰りの電車の中でマスクをしていても咳き込み始め、周りの人からジロジロ見られました。そして体がだるく気持ちが悪くなり、何とか家に着いて椅子に座ると1時間位立ち上がれませんでした。

 以前の測定で、この原因は最近の香りが長持ちする柔軟剤や洗剤等で使われているマイクロカプセル香料だと思われます。マイクロカプセル香料が付着した衣類を着た人が動くと、繊維に付着したカプセルがこすれて破壊され、かけらや内容物の合成香料、更に小さな子カプセルが周りに飛び散ります。この大きさは大きい物ではPM10、小さい物ではPM2.5となり空中に浮遊して徐々に沈降したり、舞い上がったりすると思われます。

 最初に以前の測定データへのリンクを参考に整理しました。

<電車の中のPM2.5,PM10以前の測定>
2019.03.14 電車に乗って吸う空気:香料マイクロカプセルだらけ
                 (八潮でPM2.5→83㎍/㎥,PM10→91㎍/㎥、その経路のカプセル写真)
2018.09.20 受動喫煙どころではない電車車中の香害:マイクロカプセルだらけ
       (着ていた衣類に付いた柔軟剤臭と顕微鏡写真)

 電車のシートには多数のマイクロカプセルが付着しており、そこに座った人に付着して好きでもない人に柔軟剤臭を発します。以下は以前の観察結果へのリンクです。

<電車の座席に座ってズボンに転写されたマイクロカプセルの破片写真>
2019.04.20 電車の座席に座るとくっついてくる臭いマイクロカプセル(顕微鏡写真)

 また、カプセルが破壊した時に、その材質がポリウレタンやポリウレアだと、イソシアネートというごく微量でもアレルギーを起こす猛毒物質が発生します。有毒ガスを扱う工場等でガス漏れ検知に使用される有毒ガス検知器を電車内に持ち込んで何度か測定していますが、混雑した地下区間では換気が悪いせいも有り、アラームが鳴るレベルです。このアラームは工場で働く人が職業病を発症する危険が増大するとされるレベルです。
以下は電車内でイソシアネートを測定した結果へのリンクです。

↓実際に測定した日付
2018.01.27 混雑した電車車中や通路ではイソシアネートのレベルが高い(2/2)
   Honeywell社 有毒ガス検知器 SPM Flexでの測定結果と化学テープ反応写真
   青井→北千住間から秋葉原出口まで高い値が続く。但し、テープは全ての場所で
   反応しており、読み取り下限の0.4ppb以下が途切れることなく存在する。
   電車を降りてTX改札に至る雑踏の途中でピークの1.5ppbを記録した。
2018.01.26 混雑した電車車中や通路ではイソシアネートのレベルが高い(1/2)
   Honeywell社 有毒ガス検知器 SPM Flexでの測定結果と化学テープ反応写真
   国会議事堂前のホームで下車した一団が去った後でピークの1.3ppbを記録した。
2017.03.05 自宅周辺や混み合う電車の中はイソシアネートだらけ?
   Honeywell社 有毒ガス検知器 SPM Flexでの測定結果と化学テープ反応写真
   似たような傾向で、混み合った車内でピークの1.5ppbを記録した。

 5月22日に衆議院会館へ行くときは測定器は持参しなかったので、その前に同じ経路で測定し、まだ分析していなかった5月12日のデータを調べてみました。その結果、健康に支障が出るレベルのPM2.5が観測されました。なお、この濃度の許容値はWHOと環境省で差が有りますが、以下の表の値です。



表1 各国における粒子状物質環境基準の比較
   国際環境経済研究所の「ゼロからわかるPM2.5のはなし」より












表2 環境省 「大気環境・自動車対策」より
表:注意喚起のための暫定的な指針


 では、今回測定した実際の測定値で値の大きかった所を見てみましょう。詳細は下のグラフを参照して下さい。測定は座席に座った状態で、膝の上に置いたカバンの上に測定器(ラトックシステム株式会社製 エアクオリティモニター REX-BTPM25V)を置いて行いました。

<行き>つくばエクスプレス 守谷 → 東横線 学芸大学
つくばエクスプレス 南流山で強い柔軟剤臭を感じる
          PM2.5  58㎍/㎥  PM10  66㎍/㎥   VOC  96ppb PM急上昇

つくばエクスプレス 青井でかなり混み、柔軟剤臭がした北千住までの地下区間がピーク
          PM2.5  95㎍/㎥  PM10  90㎍/㎥   VOC  189ppb

地下鉄日比谷線   六本木駅あたりで喉に引っかかる感じがしてきた
          PM2.5  43㎍/㎥      PM10  48㎍/㎥   VOC  432ppb急増

東横線中目黒ホーム 乗り換え待ちの列で前の人柔軟剤臭。乗車する時にPMピーク
          PM2.5  53㎍/㎥      PM10  54㎍/㎥   VOC  542ppb  VOCピーク
          PM2.5  65㎍/㎥      PM10  65㎍/㎥   VOC  379ppb  PMピーク


<帰り>東横線 祐天寺 → つくばエクスプレス 守谷
つくばエクスプレス 六町 PM,VOC共に急上昇
          PM2.5  62㎍/㎥      PM10  76㎍/㎥   VOC  415ppb  ピーク

つくばエクスプレス 三郷中央で一旦下がったPMが南流山で乗換客が乗車した為に急上昇
          PM2.5  63㎍/㎥      PM10  76㎍/㎥   VOC  349ppb  PM急上昇

2019年6月22日土曜日

何処にでもあり他人を汚染するマイクロカプセル(2019.5.22衆議院会館)

 2019年5月22日(水)に衆議院会館で行ったプレゼンのスライドを動画に変換してYouTubeに掲載しました。

 我が家の外気を測定するとPM2.5とPM10が70μg/m3近く計測されます。このレベルは外出を控えたり、激しい運動を避けるレベルです。そして、PCマイクロスコープで捕集した微物を観察するとその内容はほとんどがマイクロカプセルやその破裂した内容物です。我が家の様な混み合った住宅街ではこれらを知らず知らずのうちに大量に吸い込んでいる事になります。

 また、これらのマイクロカプセルの壁材(殻の部分)がポリウレタンやポリウレアで出来ていると、破裂した時に分解して猛毒のイソシアネートが発生するそうです。実際に測定してみると多い時は2ppb近い値が計測されます。これは米国の工場で8時間働く人の許容濃度である1ppbの2倍にもなり、工場内の環境よりひどい事になります。

 混み合った電車の中でも同様に計測されます。スライドは今までの検討経過を要約した物です。

YouTubeへのリンク
https://www.youtube.com/watch?v=zAC6mI_Kgus

2019年6月18日火曜日

梅雨時晴れて一斉に洗濯、布団干しPM2.5,PM10大量発生

 雨の後良く晴れた日は気分が悪くなるのが経験上分かっています。窓を開けていると特に昼頃は咳や頭痛、だるさに悩まされます。その原因を測定器で確かめてみたいと思います。また、現在は窓を閉め切って何とか防いでいるので、その効果についても確認してみます。

 自宅の玄関外と締め切った室内にPM2.5,PM10,VOC等が測定できるエアクオリティモニターを置いて、前日の雨が上がった日に室内と室外の比較測定してみます。

<使用測定器>2台使用
ラトックシステム(株)製 Bluetooth エアクオリティモニター REX-BTPM25V
右下の写真の様にスマホに無線で測定データが送られ、ダウンロードも出来ます。
自動測定で最短の5分間隔で測定する様に設定します。主な仕様は以下の通りです。
PM2.5,PM10:25~1,000㎍/㎥ 光拡散方式
TVOC:0~1,000ppb 半導体方式 以下を検出
   アルコール、アルデヒド、ケトン、有機酸、アミン、脂肪族および芳香族炭化水素
測定器本体
スマホの画面コピー




















<測定結果>
・5分間隔で自動測定し、データをダウンロードしてExcelでグラフにしたものです
・実線は1号機の結果で測定器を玄関外の木高さ約1.2mにぶら下げ、破線は2号機で締め切った室内の床の間に置いた
・室外の1号機は9時台にPM2.5,PM10共に急増し60㎍/㎥を越えて昼頃までその状態が続く。その後も室内に比べて高い状態が続く。今回は観測できなかったが、以前何度か観測した所では、微粒子はほとんどがマイクロカプセルでした。
・室内の2号機は所々にピークが見られる。密度は低いが換気や人の出入りで室内に侵入したマイクロカプセルと思われる。室内空気から微粒子を捕集すると顕微鏡でマイクロカプセルが観察されるのを確認しています。ゼロにはなりませんが、窓を閉めて空気清浄機を常に作動させているので、室内はかなりきれいな空気になっています。





















 次のグラフは、室外のPM2.5,PM10にVOC測定データを重ねたものです。VOCの成分が何であるかは分かりませんが、14時頃から徐々に発生し始め17時頃には測定器が飽和する1,000ppbまで達しています。一旦飽和するまで上がると、空気のきれいな室内に持って行っても数日間は下がりません。これは測定器内部に吸い込まれセンサー近くにくっついたカプセルから微量ではあるが高濃度の揮発性有機物質が放出され続けているのではと推定していますがもう少し確認が必要です。
 我々の呼吸器に吸い込まれたカプセルも測定器と同じ現象を体の中で起こしているのではないでしょうか?カプセルが気道や肺、更には血液中で崩壊して高濃度のVOC(成分は不明)を発生しているのではないでしょうか?





















<参考:柔軟剤処理した布から発生するPM2.5,PM10>以前の実験結果
 下のグラフは以前ある柔軟剤で処理した約1X5cmの小布片を干した時に放出されるマイクロカプセルを同様に測定したものです。ペアガラスを通して閉じた空間で干し、太陽光が減衰しているせいか自宅に飛んでくる物に比べて検出される時間が長いが同じ様な傾向を示しています。(外は大量のカプセルが飛んでいて影響を受ける為に外に干せない。ペアガラスと内窓の隙間に布と測定器を入れて測定した)



 これはその時に使用した柔軟剤をスライドガラスに垂らして同上に乾燥させてから顕微鏡で観察した画像です。中央の塊から小さな粒(PM2.5)が放出されていますが、これは一例で色々な形状のマイクロカプセルと崩壊の仕方が有ります。
3,000倍(左右一杯で100μm)


 この柔軟剤は従来の複合カプセルと違って、塊のようなものが外側から崩れながら小さなカプセルを放出している様に見えます。









3,000倍(左右一杯で100μm)






 完全に崩壊が終わるとこの様に小さなカプセル(1μやそれ以下)のみになる様です。