私は5月22日に衆議院会館でプレゼンを行う為に電車に乗り、漏れを少なく改造した活性炭のマスクをして出かけました。行きやプレゼン中は何ともなかったのですが、帰りの電車の中でマスクをしていても咳き込み始め、周りの人からジロジロ見られました。そして体がだるく気持ちが悪くなり、何とか家に着いて椅子に座ると1時間位立ち上がれませんでした。
以前の測定で、この原因は最近の香りが長持ちする柔軟剤や洗剤等で使われているマイクロカプセル香料だと思われます。マイクロカプセル香料が付着した衣類を着た人が動くと、繊維に付着したカプセルがこすれて破壊され、かけらや内容物の合成香料、更に小さな子カプセルが周りに飛び散ります。この大きさは大きい物ではPM10、小さい物ではPM2.5となり空中に浮遊して徐々に沈降したり、舞い上がったりすると思われます。
最初に以前の測定データへのリンクを参考に整理しました。
<電車の中のPM2.5,PM10以前の測定>
2019.03.14 電車に乗って吸う空気:香料マイクロカプセルだらけ
(八潮でPM2.5→83㎍/㎥,PM10→91㎍/㎥、その経路のカプセル写真)
2018.09.20 受動喫煙どころではない電車車中の香害:マイクロカプセルだらけ
(着ていた衣類に付いた柔軟剤臭と顕微鏡写真)
電車のシートには多数のマイクロカプセルが付着しており、そこに座った人に付着して好きでもない人に柔軟剤臭を発します。以下は以前の観察結果へのリンクです。
<電車の座席に座ってズボンに転写されたマイクロカプセルの破片写真>
2019.04.20 電車の座席に座るとくっついてくる臭いマイクロカプセル(顕微鏡写真)
また、カプセルが破壊した時に、その材質がポリウレタンやポリウレアだと、イソシアネートというごく微量でもアレルギーを起こす猛毒物質が発生します。有毒ガスを扱う工場等でガス漏れ検知に使用される有毒ガス検知器を電車内に持ち込んで何度か測定していますが、混雑した地下区間では換気が悪いせいも有り、アラームが鳴るレベルです。このアラームは工場で働く人が職業病を発症する危険が増大するとされるレベルです。
以下は電車内でイソシアネートを測定した結果へのリンクです。
↓実際に測定した日付
2018.01.27 混雑した電車車中や通路ではイソシアネートのレベルが高い(2/2)
Honeywell社 有毒ガス検知器 SPM Flexでの測定結果と化学テープ反応写真
青井→北千住間から秋葉原出口まで高い値が続く。但し、テープは全ての場所で
反応しており、読み取り下限の0.4ppb以下が途切れることなく存在する。
電車を降りてTX改札に至る雑踏の途中でピークの1.5ppbを記録した。
2018.01.26 混雑した電車車中や通路ではイソシアネートのレベルが高い(1/2)
Honeywell社 有毒ガス検知器 SPM Flexでの測定結果と化学テープ反応写真
国会議事堂前のホームで下車した一団が去った後でピークの1.3ppbを記録した。
2017.03.05 自宅周辺や混み合う電車の中はイソシアネートだらけ?
Honeywell社 有毒ガス検知器 SPM Flexでの測定結果と化学テープ反応写真
似たような傾向で、混み合った車内でピークの1.5ppbを記録した。
5月22日に衆議院会館へ行くときは測定器は持参しなかったので、その前に同じ経路で測定し、まだ分析していなかった5月12日のデータを調べてみました。その結果、健康に支障が出るレベルのPM2.5が観測されました。なお、この濃度の許容値はWHOと環境省で差が有りますが、以下の表の値です。
表1 各国における粒子状物質環境基準の比較
国際環境経済研究所の「ゼロからわかるPM2.5のはなし」より
表2 環境省 「大気環境・自動車対策」より
では、今回測定した実際の測定値で値の大きかった所を見てみましょう。詳細は下のグラフを参照して下さい。測定は座席に座った状態で、膝の上に置いたカバンの上に測定器(ラトックシステム株式会社製 エアクオリティモニター REX-BTPM25V)を置いて行いました。
<行き>つくばエクスプレス 守谷 → 東横線 学芸大学
つくばエクスプレス 南流山で強い柔軟剤臭を感じる
PM2.5 58㎍/㎥ PM10 66㎍/㎥ VOC 96ppb PM急上昇
つくばエクスプレス 青井でかなり混み、柔軟剤臭がした北千住までの地下区間がピーク
PM2.5 95㎍/㎥ PM10 90㎍/㎥ VOC 189ppb
地下鉄日比谷線 六本木駅あたりで喉に引っかかる感じがしてきた
PM2.5 43㎍/㎥ PM10 48㎍/㎥ VOC 432ppb急増
東横線中目黒ホーム 乗り換え待ちの列で前の人柔軟剤臭。乗車する時にPMピーク
PM2.5 53㎍/㎥ PM10 54㎍/㎥ VOC 542ppb VOCピーク
PM2.5 65㎍/㎥ PM10 65㎍/㎥ VOC 379ppb PMピーク
<帰り>東横線 祐天寺 → つくばエクスプレス 守谷
つくばエクスプレス 六町 PM,VOC共に急上昇
PM2.5 62㎍/㎥ PM10 76㎍/㎥ VOC 415ppb ピーク
つくばエクスプレス 三郷中央で一旦下がったPMが南流山で乗換客が乗車した為に急上昇
PM2.5 63㎍/㎥ PM10 76㎍/㎥ VOC 349ppb PM急上昇