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2020年9月28日月曜日

裏筑波ハイキングで微粒子、TVOC測定

 あまり人通りが多くない裏筑波のハイキングコースでリュックに測定器をぶら下げてPM2.5等の微粒子とTVOC(揮発性有機化合物の合計値)を測定してみました。

測定器:AtmotubePRO (微粒子測定はレーザー散乱方式) NotAnotherOne.Inc→詳細リンク

微粒子収集方法:測定器上面に電子顕微鏡用の両面テープ(5mm幅X約30mm長)を貼り、登山開始時に保護紙を剥がし微粒子等を付着させる。登山終了時にガラス管に入れて汚染を防いで持ち帰り顕微鏡で付着した微粒子を撮影する。

サンプル収集時刻:8:46~15:30(6時間44分)

顕微鏡:SKM-S31B-PC 斉藤光学株式会社製 (NPO VOC研究会からの借用品)

<AtmotubePROによる測定データ>微粒子測定はレーザー散乱方式

 微粒子は自宅外気の清浄時と同等かそれ以下で山でのすがすがしい体感と一致している。TVOCも同様で低いが、3ヶ所に以下のピークが有った。

 最初のピークは平坦な植林地で、当日の北風で住宅地から吹き上げられてきた物か、ハイカーやトレイルランニングの人が落とした物かは不明です。

 二つ目のピークは広い駐車場の辺りです。サイクリストが近くで休憩中で強い柔軟剤臭を感じて臭いのしない所を探して休憩した所です。

 三つ目のピークは一面枯れ野原になっている異常な場所で、除草剤がまかれたと思われ、長い間雑草も生えてきていない所です。臭いは感じませんが、何らかのガスが出ています。

















<SEM用両面テープで収集した微粒子を顕微鏡撮影>

 ほとんどが以下の様なマイクロカプセルやその破片、大きなカプセルから放出された小さなカプセルでした。中には極小カプセルが付着した繊維くずや蜘蛛の巣の糸と思われるのも有りました。

 微粒子計測で値が低くても密度が低いだけで、こんな山の中でもマイクロカプセルが飛んでいるのには驚きです。

20200929135430 1000倍
もやもやしたU字型の塊から極小の粒が飛び出している



20200929140428 1000倍
二つにちぎれたマイクロカプセルだろうか?
左上には更に小さなマイクロカプセルが見える


















20200929140848 1000倍
マイクロカプセルから吐き出された中身がばらばらになっているところ


















20200929142625 1000倍
まだ外形がはっきりしているマイクロカプセル


















20200929155725 1000倍
千切れて飛んで来た繊維くずに付着している極小カプセル
拡大して見ると粒が3個くっついているのが見える(中央部下側)



















20200929111552 1000倍
これは蜘蛛の糸と思われる
太さ数㎛で小さなマイクロカプセルと同じ位
(蜘蛛の巣を払いながら歩いた所も有る)


















2020年9月25日金曜日

総合病院眼科への通院と院外薬局で微粒子・揮発性有機化合物を測定

 今日は総合病院の眼科への通院日です。人間ドックで左目の緑内障が見つかり目薬で治療しています。今日は先日の視野検査とOCTの結果を聞くのと、眼圧、視力検査、医師の診察です。

 視野検査の結果は問題なく、今日は視力も左右1.0で問題有りませんでした。視力は複視が余りひどくない今日は良かったのですが、ひどいと0.7位に落ちます。全く複視が無い時は1.2まで見え、新聞のルビも老眼なしで読めます。複視は眼科としては異常なく、神経の問題との事で、神経内科かアレルギー科(柔軟剤成分によるアレルギー)へ行くように言われていますが、以前北里研究所病院で診察を受けて避けるしかないと言われているので、いくら診察を受けても無駄なので行っていません。

 緑内障は今日は良好でしたが、目薬を止めると元に戻るといけないので、継続する様に医師から指示がありました。

 病院へ行くついでに小型の測定器(AtmotubePRO)をぶら下げて微粒子とTVOC(揮発性有機化合物の合計値)を測定してグラフにしてみました。微粒子測定はレーザー拡散方式です。バーチャルインパクタ方式(ラトックシステムのエアクオリティモニター)に比べるとこちらの方がかなり低い値で出ます。TVOCはこの測定器の方がアルコールやLPGに対して感度が高く、逆にガスの種類で感じにくい物も有る様です。















 結果はPM1.0,PM2.5,PM10共に低かったが、TVOC(グラフ紫色)は病院内では高くピークが3か所出ていました。TVOCなので、何のガスかは分かりません。

 最初は診察室に入った時で、ここは消毒が厳重に行われるのでそのせいと思われます。

 二つ目は病院を出る所で手のアルコール消毒をしたので、それを検出しました。

 三つ目は調剤薬局に入って空いていてTVOCレベルが病院よりかなり低かったが、人が入れ替わって新しい人が1人入ってきたら急上昇した。この時活性炭マスクも効かない位柔軟剤のいやな臭いが立ち込めたので柔軟剤成分によるものと思われる。

 病院から帰って直ちにうがい、手洗い、目洗いと衣類を着替えた。ズボン(材質は綿)には柔軟剤臭を強く感じた。ナイロン製の薄い登山用のジャンパーは微かに臭いを感じたが、その下のポロシャツはジャンパーよりひどかった。ズボンは椅子との接触で椅子に付いていたマイクロカプセルが転写したものと思われる。

2020年9月22日火曜日

ほとんど人に会わない山(茨城県桜川市の燕山 701m)のマイクロカプセル測定と顕微鏡観察

 人のあまり来ない桜川市の燕山701mへ登る機会にリュックに測定器をぶら下げて微粒子とTVOCを測定してみます。

 途中で会ったのはモトクロスの一団と登山者2人二組のみでした。

測定器:AtmotubePRO (微粒子測定はレーザー散乱方式) NotAnotherOne.Inc→詳細リンク

微粒子収集方法:測定器上面に電子顕微鏡用の両面テープ(5mm幅X約30mm長)を貼り、登山開始時に保護紙を剥がし微粒子等を付着させる。登山終了時にガラス管に入れて汚染を防いで持ち帰り顕微鏡で付着した微粒子を撮影する。

サンプル収集時刻:8:06~14:18(6時間12分)

顕微鏡:SKM-S31B-PC 斉藤光学株式会社製 (NPO VOC研究会からの借用品)

<AtmotubePROによる測定データ>微粒子測定はレーザー散乱方式

 微粒子のピークは林道を歩いていた時、モトクロスのバイク数台が脇を通過した瞬間の値で、それでもPM10が18㎍/㎥(PM1.0,PM2.5を含む)と低いです。それ以外の時の微粒子レベルは自宅外気の清浄時並みです。

 TVOCはかなり変動が激しいですが、ピークでも裏筑波での測定値より低く、自宅の清浄時より低くなっています。山のさわやかな空気です。



<SEM用両面テープで収集した微粒子を顕微鏡撮影>
 自宅外気並みに分解したマイクロカプセルやその内容物が見られました。但し、自宅の様に大きな破裂前のカプセルは見られませんでした。

 また、柔軟剤のマイクロカプセルが付着した繊維くずも見られましたが、これはすれ違った登山者から飛んで来た可能性が有ります。2回目に会った二人連れは柔軟剤臭が強かった。測定器は1分間隔の測定なので、データに出なかったのは短時間のすれ違いでは計測のタイミングと合わなかったと思われます。

 一口にマイクロカプセルと言っても色々なタイプが飛んでいる様です。メーカーや製品によって材料や製法が色々有り、香料マイクロカプセルの特許を読むと色々出てきます。香料の種類によってもカプセル材(殻の部分)を変えたりしている様です。また、最近は卵の殻の様な形状ではなく、きんつばの様に粒々を何かで固めたタイプが良く見られる様になってきました。

 ほとんど人に会わない山の中でもこれほどのマイクロカプセルが飛んでいるとは驚きです。

20200923172329 1000倍
バラバラになったカプセル
良い香りとしてこれを吸っているのでは?




20200923172829 1000倍
バラバラになったカプセル
大きな塊が小さく(数㎛~1㎛以下)に崩れ行く
薄っすらと見える小さな点は1㎛以下です



20200923181217 1000倍
同上の塊
ここだけに固まって見えるので、元は一つの塊と思われる



20200923182122 1000倍
すれ違った柔軟剤臭い人から飛んで来た繊維くずだろうか?
繊維にびっしりとカプセルが付着している
中央部の曲がった部分の上からは周りに飛び散っている
この大きさだとPM2.5やPM1.0と呼ばれ肺の奥深く入り込む



20200923183051 1000倍
崩れて間もないカプセルと思われる
左側の上下二つの塊は光り輝いている
マイクロカプセルはこの様に光り輝く特徴がある
肉眼でも光を反射するとレーザー光の様に鋭い光を放っているのが分かる
20200923183253 1000倍
崩壊を始めたカプセルで主体部分は光っている
20200923183313 1000倍
崩壊中のカプセル

20200923183521 1000倍
大量に微小な粒を放出している
放出されている小さな粒は数㎛~1μm以下の大きさ
PM2.5やPM1.0と呼ばれ、肺の奥深く入り込む


20200923183630 1000倍
溶けて形が崩れ行くタイプ
20200923185328 1000倍
分解中のカプセル
中央にはまだネバネバした液の様な物が見える

2020年9月6日日曜日

柔軟剤等のマイクロカプセルによる臭い

 柔軟剤の香りがすると咳や頭痛等になる私は、コロナが流行る前からずっと3蜜回避です。

 ウォーキングも以前は夕方とかに行っていましたが、下校の中学生の一団と会ったりすると気分が悪くなるので、今は早朝4時に起きてウォーキングに出かけます。この時間は冬場は真っ暗でほとんど人に会いませんが、夏場は犬の散歩やウォーキング、始発電車に乗る人等意外と会います。

 今回、0.3㎛から微粒子を測定できるエアクオリティモニターをぶら下げてほぼ同じ時刻にウォーキングに出た時の1週間分のデータを分析してみました。1週間と言っても連続ではなく少し飛んだ7日分です。

 エアクオリティモニターは8.5cmX5cm位の大きさで、スマホと無線通信してスマホに右の例の様に表示されます。微粒子はレーザー散乱方式(MIE理論)で計測されます。この方式は以前環境省の測定で使用されていましたが、今はほとんどベータ線による減衰を利用した方式になっている様です。

 測定データは1分毎にスマホに記録されており、ダウンロードしてPCでExcel処理しています。

スマホに表示される例
Air Quality Monitor
NotAnotherOne.Inc
Atmotube PRO




























1.前半3日間のデータ(4:00~5:30までを横に並べて表示)






























 我が家では室内の微粒子は非常に少ないですが、玄関の外に出た途端に数倍になり、日によって変動する事が分かります。3種類の微粒子の大きさについては、この測定器は以下の様になっていますので、積み上げグラフの様に見て下さい。
7月10日ウォーキング時収集
1,000倍 崩壊中のカプセル
PM100.310.0㎛)
PM2.50.32.5㎛)

PM1.00.31.0

 グラフを見るとPM1.0が大部分を占めている事が分かります。これは右の顕微鏡写真の様に倍率を1,000倍に上げても点にしか見えないのが沢山写っているのと一致します。

 








2.後半4日間のデータ(4:00~5:30までを横に並べて表示)
 良く見ると、9月2日と5日に大きなピークが有るのが分かります。次はこの2日間を個別に見ていきます。





























3.9月2日のピーク
 臭いを感じた時の時刻と場所をメモしています。中央付近のPMが盛り上がっている折返しの所ではいやな臭い(表現が難しい臭いだがいやな感じ)がしました。その後の大きなピークは前を通った人が強い柔軟剤臭を出していました。この様に、柔軟剤臭がする時は大量に微粒子が飛び散っている事が分かります。しかし、VOCの方は反応していません。臭いはごく微量でも感じるので、ガス成分は検出出来ないのかも知れません。





























4.9月5日のピーク
 中央部の2か所の盛り上がりは、最初は有料駐車場で気持ち悪い臭いがした時です。この時間ですので誰も居ませんでした。次の台形の盛り上がりは駅前で駅のシャッターが開くのを待つ人が数人居ますが臭いは感じませんでした。

 その後の大きなピークは少し煙かった所です。今日は煙は見えませんでしたが、近くのお寺で良くゴミを燃やしているのでその影響と思います。市の条例で野焼きは禁止されていますが、困ったものです。ひどい時は一面煙に包まれます。

 最後に自宅に近づくと、出発した時より微粒子が多くなっています。






























 今回の測定で、臭いを感じた時は微粒子が飛び交っている事が分かりました。測定間隔が最短で1分なのでその間だと見逃す事も有りますが、今回は明確にデータに現れました。

 この微粒子の影響について、愛知県の資料が分かりやすいので以下のリンクを参照して下さい。
https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/20018.pdf

 また、医学的に詳しくは産業医科大学呼吸器内科学の以下リンクのスライド(環境省の公開資料)が詳しいです。
https://www.env.go.jp/air/osen/pm/info/cic/attach/briefing_h25-mat03.pdf

これを見ると、肺まで達したPM2.5は全身炎症を増強し、

眼科系疾患(結膜炎):眼のかゆみ、腫れ、流涙、目やに、等

呼吸器疾患(上気道炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患, 肺がん、肺炎など)
         :くしゃみ、鼻水、咳、痰、喘鳴、呼吸困難(労作時、安静時)、等

心血管系疾患(狭心症、心筋梗塞、不整脈、動脈硬化、血栓形成など)
    :動機、息切れ、胸痛、脈不整、血圧上昇、等

神経・脳:頭重感、疲労感、不安感、うつ、等

の様な症状が出やすいと書かれています。

 しかし、私が観察している様に、今やPM2.5は柔軟剤等のマイクロカプセルやその破片が大半を占める事に気が付いていない事は大変残念です。

 また、これらはほとんど透明で、測定方式によっては正しく測定出来なかったりする可能性も有ると思われます。以下リンクのベックマン社の資料には屈折率の問題が下の様に書かれています。
https://www.beckman.jp/resources/fundamentals/particle-size-distribution/basics/measurement

 レーザ回折・散乱法の重要なファクターである屈折率は、その値を変更すると、粒子径や粒度分布が変化する。液体に関しては各種文献、資料に、屈折率が記載されているが、粒子を構成している物質(固体)に関しては充分とは言えないのが現状である。また混合されている試料や、複数の成分で構成されている粒子に関しては、屈折率が決定できない