2020年4月9日木曜日

コロナは見えないが微粒子(PM2.5,PM10)を測定、観察してみる

 新型コロナウィルスで三密は避けろと言われていますが、我々柔軟剤等で気分が悪くなる者にとってはもう何年も行っている事です。専門医からは避けるしかないと言われているので。

 ただ一つ違うのは換気です。自宅の窓を開けて換気はできません。窓を開けると部屋の中は近所から飛んで来た香料マイクロカプセルが畳の上でキラキラ光り、咳や頭痛になります。また、洗濯物も外に干すと汚染され夜寝ると激しい咳に見舞われるので部屋干しで風乾燥です。

 こんなご時世で電車に乗っての外出は危険ですが、がんの再発チェックも重要なので電車に乗って通院しなければなりません。2月中旬には電車に乗って昔勤務していた近くの歯医者へDS2というN95相当のマスク(下の写真)をして行きました。このマスクは微粒子をウィルスもほとんど通さないという国家検定を通った物ですが、次の日に38度5分の発熱をしてどうもガスにやられた様です。

 このマスクはウィルスには効果有りますが、イソシアネート等の有害なガスには効果有りません。そこで、今回は活性炭のマスクを漏れが少なくなるようにワイヤーを入れ改造した物を使用しました。その結果、少し症状は出ましたが、直ぐに回復する事が出来ました。これを機会に、電車に乗って通院する時に浴びる微粒子PM2.5,PM10を計測し、その内容を顕微鏡で観察してみました。


1.電車に乗る為の装備
(注)現在はこれらのマスクは入手できず、在庫で何とかつないでいます。
以前改造して使用していたクラレフレックスのCS5Aという防臭マスクは製造終了になっています。
DS2マスク(米国規格N95相当
国家検定マーク
DS2マスク(米国規格N95相当)












 このマスクは国家検定品で粉塵の発生する危険な作業で使用する物です。
 微粒子対応でウィルスにも効果有る様です。しかし、防毒マスクでは有りませんと注意書きが有りますので、ガスには効果が薄いと思われます。

活性炭防臭マスク(活性炭シート部の漏れ改造

活性炭シートの裏側に
ビニタイ(横は2本、縦は折り返しで2重)
活性炭(顔に接する側)












 臭いと粉塵に効果が有りますが、国家検定品ではなく、有害な粉塵、ガスの発生する所では使用できない注意書きが有ります。

 そのままでは活性炭シートが固く、特に
鼻の部分が浮いてしまい効果が出ない。
この為、鼻の部分と両脇にワイヤーを
入れて顔にフィットさせる改造をしています。また、耳に掛けるゴムが緩いので、途中で縛ってぎりぎり痛くならない所に調整していますが、長時間の装着ではたまに当たる位置を動かさないと痛くなります。正しく装着すると空気抵抗を感じます。


2.電車内・病院内の微粒子を5分間隔で測定
 測定器の最小検出粒子径は0.5㎛なので0.02~0.2㎛と言われているウィルスは残念ながら検出出来ません。カバンにぶら下げたエアクオリティモニター ラトックシステム(株)製 REX-BTPM25Vで測定しています。この測定器はSHARP製PM2.5センサモジュールを使用しています。

<往路:自宅→つくばエクスプレス→地下鉄日比谷線→病院>





























 自宅の室内ではPM2.5,PM10共に20㎍/㎥以下の良好な値でしたが、外へ出た途端にPM2.5が37まで跳ね上がった。我が家の外気は汚染されています。

 往路の電車の中では、つくばエクスプレス、地下区間の青井でPM10が40㎍/㎥と高くなり、北千住の日比谷線への乗換通路でPM2.5が35とやや高くなった。

 地下鉄日比谷線では、コロナ対策の為に換気して窓も一部開いていましたが、それでも茅場町手前で悪臭がした時にPM2.5が40、PM10が41とピークになりました。

 地下鉄の駅から地上に出て病院までの歩道歩きでは、距離が短いですが調剤薬局前が一番高くPM2.5が40となりました。人が集まる所では、人が居ない時でも値が高くなる様です。


<病院内>






























 コロナの影響か、珍しくすいている病院内に入るとPM2.5,PM10共に20㎍/㎥台に下がり、外来やすいているCTの待合場所でも低い値で良好でした。

 CTが終わり外来に戻ると少し混んできて、途中でいやな柔軟剤臭がしてだんだんと目にしみてきたので席を移動しました。この時PM10やPM2.5が31を記録しています。診察室の中はやや低く、診察が終わって会計へ行くと、人が集中する会計機の所が病院内のPM2.5ピークで32㎍/㎥でした。


<復路:病院→昼食の蕎麦屋→地下鉄日比谷線→つくばエクスプレス→自宅>





























 帰りは病院を出て、ビル地下の開店したばかりの蕎麦屋で早い昼食を食べましたが、一番乗りの客という事も有り店の中は20台で良好でした。地下鉄のホームや乗車して直ぐは40台でしたが、途中上野で乗車してくるとPM2.5が51㎍/㎥を記録しました。

つくばエクスプレスに乗ると、八潮の地下区間から途上へ出る所でPM2.5が65㎍/㎥、PM10が68のピークとなりました。行きの時に比べて1.5倍位になっていますが、電車の込み具合は行きの時が混んでいました。

 それでは次に、行きの電車の中と病院内でPM2.5やPM10がどの様な物かSEM用両面テープで収集したのを顕微鏡で観察してみます。


3.微粒子を顕微鏡で観察
<ブランクチェック>
 家を出る時に捕集用のSEM用両面テープの保護紙を剥がしてガラス製のサンプル管に保管し、帰ってきてから顕微鏡で観察した物です。

 下に有る様なタイプの物で少し汚染されています。両面テープの汚染が無い事は以前確認していますが、サンプル保管用のガラス管が汚染されているか、観察中に落ちてきた物かも知れません。

 身の回りのほとんどの物がこの様にマイクロカプセルで汚染されている深刻な状況です。
20200402181149 1000倍
破れたマイクロカプセル

































20200402182420 1000倍
破片から小さなカプセル(数㎛~1㎛以下)が放出されている



































<往路の電車車中>
SEM(電子顕微鏡)用両面テープに付着した微粒子を顕微鏡1,000倍で観察
20200402212839 1000
未崩壊のカプセルか?


































20200402205000 1000
崩壊を始めたカプセル
極小(数㎛~1㎛以下)のカプセルも放出されている

20200403094904 1000
更に崩壊が進んだと思われるカプセル
大量の極小(数㎛~1㎛以下)のカプセルが放出されている





































20200402210657 1000
カプセルが破裂して激しく飛び散った跡



































20200402185134 1000
バラバラになったカプセルの一部
透明で光が当たると反射して光り輝くのが特徴



































20200403095819 1000
固形物が溶けて極微小(数㎛~1㎛以下)カプセルを放出している様に見える



































20200403100555 1000
バラバラになったカプセルか

































20200402184426 1000
カプセル内容物の塊と思われる
電車で臭くなったズボンを観察するとこの様な塊が多数付着している



































20200402211744 1000
これもカプセル内容物の塊と思われる
良く見ると周りに1㎛以下の点にしか見えないカプセルが散らばっている




































20200402213330 1000
カプセルの内容物と思われる
極小カプセル(数㎛~1㎛以下)の塊に見える




































<病院内>
 病院の建物に入ってから外へ出るまでにSEM用両面テープに付着した微粒子を1,000倍の顕微鏡で観察
20200403134602 1000倍
いろいろなカプセルの残骸が見られる


































20200403103339 1000
ばらばらに崩壊中で極微小(数㎛~1㎛以下)のカプセルが放出されている


20200403104520 1000
破裂で飛び散ったカプセル内容物か



































20200403104628 1000
中から内容物が放出されている様に見える


20200403104256 1000
溶けてしまって外周部だけ残ったカプセルか
極微小(数㎛~1㎛以下)のカプセルが放出されている

20200403104936 1000
左は最近よく見かけるようになった溶けながら極微小カプセルを放出するタイプ


































20200403105225 1000
繊維くずにびっしりと付着した極微小カプセル




































<2019年8月1日に同じ病院内で見られたマイクロカプセル>
20190802105143 1000
このタイプは今回は一つも見つからなかった



































 今回も収集された微粒子はほとんどが柔軟剤等の香料マイクロカプセルと思われる。そして、以前は大きなカプセルの中に極微小のカプセルを入れた物が多かったが、最近は溶けながら極微小のカプセル(数㎛~1㎛以下)を放出する物が主流になってきている。

 そして、これらの極微小(数㎛~1㎛以下)微粒子はPM2.5と呼ばれ、長い間空気中を漂い人が居なくなった後も人が多かった所で検出される。これらの香料を入れるカプセル材がプラスチックだと、新型コロナウィルスが付着していると3日間程度生き延びるデータが発表されているし、直接肺の奥深くまで入ってしまう。私は素人なので、専門家の研究を待ちたい。

2 件のコメント:

  1. おつかれさまです。
    最近は大きいタイプはないんですね。小さいのも凶暴なのが画像から伝わってきます。除放して出て来てる極小カプセルに絶望。

    コロナ+微粒子
    根拠は不明ですが、自分は全力で避けます。

    どうやってビニタイを活性炭に付けてるのか、少々考えましたが、針と糸?くらいで分からず画像を確認。
    ホッチキス!勉強させていただきました。

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    1. コメント有難うございます。

      今は製造中止ですが、活性炭シート付きCS5Aのマスクでも両脇からの漏れがひどかったのでビニタイを通してずれない様に糸で縫い付けていました。活性炭シート付で漏れなく着用すると、登山の登りでは息が苦しくとてもやってられませんでした。

      CS5Aが入手出来なくなってメーカーのクラレフレックスに相談し、PD-200他を代替品として紹介されましたが、これは当初活性炭シートが固くて浮いてしまいほとんど効果が有りませんでした。そこでビニタイをホチキスで止め、更に今は各ビニタイを2重にしています。それでも装着時に気を付けないと漏れが発生します。きちんと装着すれば電車の中でもよほどすごい人が隣に来ない限り大丈夫でした。

      今は活性炭マスクが入手出来ませんが、次回はRT-1Aという代替品で紹介されたのを試してみようと思っています。先日、東京駅で防毒マスクを付けた人を見かけましたが、究極はそれでしょうか。私も粉塵・ガス対応のを実験用に持っていますが、それで外出するには勇気が要ります。

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