前回「柔軟剤処理した洗濯物から放散されるマイクロカプセル(1)晴の日」に続く試験です。今回は雨の日に柔軟剤処理した布を部屋干ししたらどうなるかです。
試験方法、測定器は前回と同じです。
<干している状況>
二重窓の間の隙間9cmに干しています。
外側はペアガラスで温度が伝わりにくくなっています。
この後、外側のシャッターを閉めて内側も内窓と二重カーテンを閉めておきます。
大きな変化が無いため日が差す翌日8:00にシャッターを開け、部屋のカーテンもレースのみにして前回と同じ条件にしました。
<PM2.5,PM10計測結果>
①雨の日に干す(4月30日)
1号機の計測結果
2号機の計測結果
雨の日で日が当たらず温湿度の変動も少ない時は、所々にPM10の小さなピークが見られるのみで、大きな変動は無かった。VOCも低く安定している。
次の日は晴れ間が出そうなので、直射日光が当たる様にして同じサンプルを継続して干してみることにします。
②晴れたり曇ったり(5月1日)前日から続いて干す
1号機の計測結果
2号機の計測結果
薄日が差すと共にVOCが上昇し始め、VOCのピークとなる11時55分から12時05分までの10分間にPM2.5,PM10共に激しく発生する。カプセルが崩壊して中身を放出していると思われる。
それでは次にこの後で顕微鏡により、実際の柔軟剤液が乾いてどのようになったかプレパラート上で見るのと、布に付いたのがどうなっているか観察してみます。
<PM2.5,PM10顕微鏡観察>
①プレパラート上乾燥柔軟剤希釈液のマイクロカプセル
塊が崩壊して小さなカプセル(小さい物は1μmかそれ以下)が出ている 20190501175803 3,000倍 |
左側に崩壊して抜け殻になった親カプセルが見える 直径30μm程度 20190501181504 3,000倍 |
一番密度が高い部分 20190501182225 3,000倍 |
②布に付着したマイクロカプセル観察
アクリル繊維が交差した所にマイクロカプセル内容物 (透明な粘性の物と子カプセル)が付着 子カプセルで小さい判別可能なものは直径1μm 20190501183408 3,000倍 |
マイクロカプセル内容物がダンゴ状に付着 外径19μmX16μm 中に色々な形状の子カプセルが見える 20190501183643 3,000倍 |
アクリル繊維に付着したマイクロカプセル内容物 26μmX16μm 内容物の一番手前にドーナツ状の物が透けて見える 20190501192000 3,000倍 |
上の写真と同じドーナツ状の物が飛んだ? 直径16μm 20190501191235 3,000倍 |
アクリル繊維の左側に積もる様に付着 最初から晴れた日に干すとこの様に大量に付着した 20190501203213 3,000倍 |
アクリル繊維にべっとりと付着したマイクロカプセル内容物 20190501204007 3,000倍 |
2本のアクリル繊維間をまたぐようにマイクロカプセル内容物が付着 20190502093117 3,000倍 |
アクリル繊維にマイクロカプセル内容物が付着 粒々の子カプセルは3μm~1μm以下 20190502100741 3,000倍 |
粘性の高いマイクロカプセル内容物が付着 20190502093740 3,000倍 |
色々な大きさの子カプセルが透けて見える 20190502101221 3,000倍 |
柔軟剤の取説では、洗濯の後放置せずにできるだけ早く干すように書かれている。前回の様に直ぐに干した場合は、親カプセルが完全に崩壊して中の子カプセルのみが繊維に厚く付着していたが、今回の様に雨の日に干した場合は、カプセルが完全に破裂せず、内容物の粘液みたいのに包まれた子カプセルが多く見られた。
我が家の外気では今回の様な大きな塊が多く飛んできているのが観察される。近所はほとんどが共稼ぎで夜に洗濯をする家が多く、一晩過ぎて直射日光に干すと今回の様な塊が飛んでくると思われる。
今回は1回しか洗濯をしていないが、更に洗濯をして柔軟剤液が付いたり、前に付着した物が劣化してどうなるか?
また、今回は小さな布片(1cmX5cm)で過敏の人は避けなければならない程のPM2.5が飛んだが、一家4人分程度の洗濯物を干した場合は恐ろしく大量の微粒子が飛ぶことになる。かなりの距離まで拡散するのではないだろうか。
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