2022年4月19日火曜日

自宅近辺のイソシアネート濃度、PM2.5、VOC移動測定:イソシアネート測定時アラームが鳴る事が多い 

  昨年測定した早朝ウォーキング時のイソシアネート測定データの整理が終わったので公開します。

 ほぼ同じ時刻に出発して毎日同じ住宅街の経路を往復していますが、2.6ppbものイソシアネート値が発生した場所が有ります。米国の職業病予防許容濃度1ppbの2.6倍もの値が住宅街で検出されています。

 日によって、場所によって値は激しく変化する事が分かります。早朝4時台は気流が安定していますが5時台になると風が出てくる事が多いです。

 イソシアネート濃度は臭い、PM2.5やVOCと関連無いことが分かります。

 この測定と時期は異なりますが、イソシアネートの成分をLC-MS/MSで1週間に渡って分析して貰ったところ、イソシアン酸が桁違いに多い事が分かりました。但し、イソシアン酸以外の分析できない成分も大量に含まれるようです。(日本では分析用の標準資料が手に入らないため)

 イソシアン酸は山火事やたばこの煙で発生する事が知られていますが、一般の燃焼ではPM2.5やVOCが大量に発生します。以下の様にPM2.5やVOCが大量に発生していない事から通常の燃焼によるものではない事が分かります。最後に焚火で発生したPM2.5とVOCのグラフを参考に添付します。

<職業病予防の為の許容濃度>測定結果の持つ意味を理解する為

 イソシアネートは職業病として恐れられている物質で、AIHce(米国産業衛生学会議)のPDC423 Handoutに予防方法や測定方法が詳しく記載されています。一部を引用すると、

 モノマー(単量体)だけでなく・・・すべての遊離イソシアネート官能基(NCO)が原因物質であると疑われています。

 吸入および皮膚によるモノマーおよびオリゴマー(比較的少数のモノマーが結合した重合体)への暴露を考慮する必要があります。

 イソシアネートとともに使用される他の化学物質からの同時暴露を忘れてはなりません。

 (また、イソシアネートが発生する職場の人は、作業服を自宅に持ち帰って洗濯してはならないというのも読んだことが有ります。汚染された衣類から自宅が汚染されてしまう為と思われます。)

 <イソシアネート測定器>
 有毒ガスを使用する職場で作業員の安全確保の為に使用される産業用機器です。
 呈色反応を利用し、試薬をしみ込ませたテープに一定流量の空気を通して起こる発色の変化を光学的に読み取り、測定値を表示したりアラームを出したり出来ます。

 イソシアネートのテープでは、イソシアネート基に反応する為に、全てが有毒とされる色々なイソシアネートを検出する事が出来ます。
 米国ではACGIH:アメリカ合衆国産業衛生専門官会議が2016年にイソシアネートTDIの8時間労働の許容濃度を5ppbから1ppbに引き下げたので、1bbpでアラームが鳴ります。


米国 Honeywell社製 SPM Flex 有毒ガス検知器

 PDC423 Handoutにはスクリーニング用具としてのみ使用し、政府のコンプライアンス目的では使用しないという注意書きが有りますので、測定を目的とした機器でない事を承知おき下さい。


ケミカセットを交換する事により各種ガスを検出出来る。

RFIDとマイクロコンピュータでヒューマンエラーを防止する。






<PM、VOC測定器>

米国 NotAnotherOne社 AtmotubePRO

スマホ画面の例

AtmotubePRO本体


スマホとBTで接続し、アプリで表示させたりデータのダウンロードが出来る。

PM測定はレーザー散乱方式

この測定器のテスト結果

https://blog.atmotube.com/aqmd-and-atmotube-pro-preliminary-test-results/


AtmotubePROの仕様や内部構造は以下を参照して下さい。

http://mukouryou.blogspot.com/p/atomotube-pro.html


<イソシアネートの症状>

 イソシアネート( −N=C=O. という部分構造を持つ化合物)の成分で分かっている主要な物はイソシアン酸ですが、不明な成分もかなり有る様です。イソシアン酸の危険性は重大な爆発の危険の他に

目、皮膚、粘膜に強い刺激を与えます。(Chemical BooKによる)


<イソシアネートの特徴>

 イソシアン酸メチル(MIC、CAS番号624-83-9)の主な用途は、カーバメート系農薬の製造における化学中間体としてです。MICは、ポリウレタンフォームとプラスチックの製造にも使用されます(ATSDR、2002年)。イソシアン酸(ICA、Cas no。75-13-8)は不安定であるため、商業用途には使用されていません。ICAへの職業的曝露の可能性は、ICAが他の工業プロセスの熱劣化生成物として生成された場合に主に発生します。(Guidechemより)


<測定結果>

イソシアネートピークは1.2ppb(アラームレベル)


















イソシアネートピークは1.4ppb(アラームレベル)





イソシアネートピークは2.6ppb(アラームレベル)















呈色反応の確認

 黄色いテープ中央部の赤い丸がイソシアネート基に対する呈色反応です。

 各種イソシアネートに選択的に反応します。

 赤色は反射光が減るので、センサーで反射光の減少変化を読み取り、アナログ→デジタル変換して検量線と比較し値を表示する原理です。

 前モデルTLD-1では積分型で15分間テープを暴露して変化を読み取っていましたが、これだと差し迫った危険を察知するのに遅すぎます。このため、SPM Flexでは変化分を読み取り、数秒で危険を察知し、アラームを出したり、リレーでガスの供給を遮断できるようになっていてガス漏れ警報・遮断機としても機能します。


イソシアネートピークは0.6ppb



呈色反応の確認
 赤い丸が付いて呈色反応が確認出来ます。測定値で0.4ppb未満は切り捨ててゼロとして表示されるので上の様にゼロと行き来するグラスになっていますが、ゼロでもモニターのバー表示で僅かな値を検出している事が分かります。
 また、ゼロでもテープの変色が有る時は、0.4ppb未満を検出している事が分かります。



イソシアネートピークは1.5ppb(アラームレベル)

















イソシアネートピークは0.7ppb
















イソシアネートピークは1.3ppb(アラームレベル)
















イソシアネートピークは1.3ppb(アラームレベル)















イソシアネートピークは1.2ppb(アラームレベル)
















<焚火で発生した異常な値の例>

焚火の時は桁違いの微粒子が飛ぶ















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