2018年3月1日木曜日

無香料の消臭スプレーが周囲をイソシアネートで汚染し危険なレベルに

 2/20(火)にイソシアネートを検出しなくなったサンプルの布巾をチャック付きビニール袋に入れてチャックを開いたままにしておきました。二日後に別の依頼測定を行おうとブランクチェックを行うと、いきなり警報です。

 汚染した犯人を突き止めようと実験した結果をお知らせします。
 犯人は有毒ガス検知器から約1m離れた位置に置いていた布巾(写真の青い布)でした。2/18に無香料消臭スプレーをして、一旦イソシアネートが出なくなり、チャックを開いたまま放置しておいた物でした。

 経過を整理すると以下の様になります。参考に私の症状も記載しますが、近隣からの柔軟剤による影響も含まれます。
*ppbの値はトルエンジイソシアネートとして計測した値です
2/18(日)  無香料の消臭剤をスプレーし、その直後の測定でイソシアネート検出せず
    19(月)  MAX5.9ppbのイソシアネートを検出→測定後ビニール袋のチャック閉じ
    20(火)  検出せず→測定後ビニール袋のチャックを開いておくと・・・
    21(水) 本日お休み(台湾から一時帰国した息子と会食し生ビール小グラス1杯)
       頭痛で2時間昼寝、その後も動くと頭痛がする。複視がひどい。
    22(木)  布近くでMAX6.7ppbのイソシアネートを検出
       朝起きると鼻詰り、目の周りまで目やに、複視
この先もっとひどい状況に・・・
    23(金) 我が家の1階全体が汚染MAX18.3ppb離れた台所でも12.9ppb
       下肢がひりひりと痒い
    24 (土) そのままだと出ないが布を振るとMAX0.7ppb 2分間発生
       目やに、複視ひどい
       (洗面所や風呂場まで近隣からの強いハッカの様な柔軟剤臭がする)
    25(日) 下の写真の状態でMAX14.8ppb更に布を振ると18.5ppbにもなる
       下肢痒く体だるい。目やに(外は近隣からの石鹸系の柔軟剤臭)

<最初は測定器の誤動作かと>
 有毒ガス検知器SPM Flexは化学テープに一定量の空気を通し、その中の特定成分(今回は全イソシアネート基 -NCO)に反応してテープが変色します。その変色していく過程の変化分を光学センサーで電流変化として読み取り、検量線(標準曲線)と比較して数値を表示する仕組みです。
 このため、センサーにほこりが付いたり、センサーが温度差で曇ったりすると嘘の表示が出る弱点が有ります。寒い室外で測定していて、暖かい室内へ持ち込んだ時などセンサーが曇っていると思われ顕著です。

<誤動作と本物の見極め>
 今回も最初は温度変化かな?と思っていましたが、ずっと室内に置いているし、出ない日と出る日が有りおかしいと思っていました。そこで、SPM Flexを移動して発生源と思われる物から遠ざけてみたり、発生源を隔離したりして測定器の誤作動か実際にその様なイソシアネート基が存在しているのか確かめてみました。

 その結果、写真の様なたった布巾1枚から我が家の1階全体(6畳と床の間+8畳+6畳の3部屋)を全て汚染し、一番離れた台所でさえ8.9ppbで汚染してしまう影響力が有りました。

<今回測定の影響>
 イソシアネートは一般にははなじみが無い物質ですが、アレルギーを起こす職業病物質として恐れられています。そして、その許容濃度はとてつもなく低く、トルエン(シンナーの主成分)の数万分の一、また毒ガスとして知られている青酸ガスの数千分の一です。それゆえ、臭いを感じた時には生命が危ないと言われています。

 そして不安定な物質で、体内の水分と反応してアミンという物質に変化しますが、これも猛毒でイソシアネートとは違う色々な症状が出ると共に長時間体の中に蓄積(半減期が10~21日間)します。

 また、動物実験では発がん性があるという事が言われています。

 たった布巾1枚で1階全体がこの様なレベルで汚染されてしまうという事は恐ろしい事です。洋服とかソファーとかもっと広範囲にスプレーしたらどうかるか、想像しても恐ろしくなります。

 更に、今回途中で布巾の袋を閉じると18分とか19分でゼロになるので、これ位の時間でイソシアネートは消滅(大気中の水分と反応しアミンに変化していると思われる)しています。しかし、袋を開けていると長時間観測されるという事は、次々と布巾からイソシアネートが出続けている事を意味します。

<イソシアネートの許容濃度について>
 代表的なトルエンジイソシアネートについて、ACGIH(米国産業衛生学会)は2016年2月から許容濃度を厳しくしました。それによると、
8時間TWA(時間加重平均)を  5ppbから1ppbに
15分STEL(短時間ばく露限界)を20ppbから5ppbに

 これはあくまで有毒物質を扱う職場の規格で、一般家庭の室内でこれをはるかに超える値が出るという事は異常事態です。

<今後について>
 以前実験した柔軟剤も同様な傾向が見られ、測定器の誤動作と思っていましたが過去のデータを見直すと、どうもそうでなく本物の様です。これについては再試験をして確認したいと思います。
 現在測定器はNPOに一時的に返却していますので、戻ったらまた試験を再開したいと思います。次回は、・・・3Dというのが臭いとイソシアネートに感作されている人から情報が寄せられているので、優先して試験する予定です。

 再開するまで暫く測定はお休みして体調回復に努めます。

<2/23の状況>
場所を移動したり、発生源を遮蔽したりして測定器の誤動作でない事を確認





















<2/25の状況>
10.3ppbを表示し、SPM Flexの画面が赤くなりアラーム状態


  
場所を移動したり、発生源を遮蔽したりして測定器の誤動作でない事を確認

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